角刈伝説!会員番号0番波多場四郎の軌跡

関西個人決勝対上賀茂産業大学4回生内田

19〇〇年4月29日、全関西学生空手個人戦。学連伝統の無差別3本勝負。突然現れた無名の新星、松ヶ崎大学一回生波多場四郎は1回戦から中段突きだけで7試合全戦3-0の無傷で決勝まで勝ち上がる。

そして決勝の相手は大会4連覇がかかっている上賀茂産業大学4回生内田秀人。前年末の日本武道館での全日本選手権決勝で、ベテラン縦道を血みどろにまみれながらも制したばかりのこの猛者を相手に新人一回生四郎がどのように挑むのか、ガクラン角刈りの空手学生でうめつくされた神戸の体育館はいやがおうにもかつてない盛り上がり、いや一種異様な空気に満ちている。主審小山田の「はじめ!」とともに関西学連始まって以来の緊張感の中決勝戦の幕は開けた。

試合は予想外の展開を見せる。内田の猛攻が予想されたが、しかし内田はこの身長165センチそこそこの四郎の華麗なフットワークで得意の上段連突き、さらには上段回し蹴りをも完全に封じられていた。身長180センチ体重80キロを超える自分の圧力がこの小柄で無名のたかが一年坊主にまったく通用しないのである。

「何しとんじゃ内田ぁっ」

「そんな一回はよイてまえっ!」

「内田センパイ一本お願いしゃス!」

攻めあぐねる内田に罵声がとぶ。一方四郎はいまだ一発も技を見せない。両者の動きが止まった。会場も静まり返る。両者睨み合ったまま時間が過ぎ残り3秒。ノーモーションから四郎の上段へ放たれた内田の左拳は四郎の右頬をかすめた「あたあああっさあああああああああああ」「やめええっ!!!」天井が吹き飛ぶほどの気合いと主審小山田の号令が響き渡る・・・・・

内田の四連覇は阻止された。波多場四郎。中段突き一発であの内田秀人を破ったこの瞬間から伝説は始まったのである。

※この物語はフィクションです。自在する人物・団体・事件・事実等とは一切関係ありません。